カバン・袋物・帆布加工一式 一澤信三郎帆布

信三郎のええかげんな話

Date 2019.08.15

#98 マニュアルはあらへん、いらへん

未だ手書きでバラバラのノート類

うちには、70人ほどの職人が居てます。
ミシンを縫う職人と、ミシン仕事がスムーズに進められるように、布を折ったり、印をつけたり、金具を付けたりする下職とが、やり取りをしながらかばんを作っていきます。
帆布の反物は専門の担当が裁断しますが、かばんの製作は、そのチームで最初から仕上げまでやるんで、うちでは、誰が作ったかばんかも、だいたいわかるんです。やり甲斐のある仕事やけど、もちろん責任も伴います。
今までミシンや道具類、帆布にさえも触ったことのない若者が職人希望で入ってくるんで、先輩が、いちから徐々にいろんなことを教えていきます。
そこに、必ずこの通りにせなあかんというマニュアルは、あらへんのです。
新人は入ってきたら、まずは下職から始めます。
シンプルな道具袋(トートバッグ)から教わって、徐々に難しいかばんに挑戦していきます。先輩から毎日いろんなことを見習うて、それを自分なりにノートにメモしていきます。
下職をしながら、「一澤帆布製」や「信三郎帆布」などの織ネームを縫い付けたり、内側のポケットを縫わせてもらいながら、ミシン仕事にも慣れていって、7〜8年でかばんを縫えるようになります。
完璧なマニュアルを作成してしもうたら、マニュアル通りにするだけで、それ以上に知恵を働かせて工夫せぇへん。
途中のやり方がチームによって違うても、最終的に確かで、スカッとあか抜けたもんができればええんです。
私自身が、研修会も講演会も苦手で、何とのう自分のしたいように生きてるのに、職人を型にはめることなんかできひん。
みんなのノート、いっぺんこっそり見てみたいもんです。
私の悪口や似顔絵でも描いてあるとおもろいんやけどなぁ。

未だにハサミで一枚づつ裁断