カバン・袋物・帆布加工一式 一澤信三郎帆布

信三郎のええかげんな話

Date 2018.06.20

#83 不思議な “お向かいさん”

先日アメリカ人の女学生が、うちの工房の道を隔てた向かいの店のシャッターに、突然絵を描き始めました。
“ はて、何を描くんやろう ” とみんなが興味津々。何かわからんなあ、と首をひねること三日、ようやく完成。ニューヨークの出身らしく、ハドソン川に架かるブルックリン橋と、その上空に軽飛行機。その機体が引っ張る吹き流しに、「MAISON HIRO」と言う名前と、日本とアメリカの国旗が描かれています。
その向かいの店は「メゾン・ヒロ」と言う美容室。一人で店を切り盛りしているご主人は、ニューヨークで30年近く美容師として活躍したのち、日本に戻ってこの店を開きました。やはり終の棲家は京都やそうです。
何とも感心したのは、入り口の看板です。

Any nationality
Any religion
Any age
Any gender

そして
We are Always Welcomed

と書いてあるんです。
人を区別せず、差別せず、誰でも受け入れる。ええことやなあ。
高校生の娘さんの手書きだそうです。
お向かいの店には、いろんなお客さんが出入りしています。欧米人のお客さんが多いようですが、髪を紫や緑色に染めたり、金髪を思い切り立ち上げたり、と様々な髪形に整えた人たちが満足げにお店を出ていきます。数十年前なら私も挑戦したんやけど、残念ながら髪で自己表現は今や不可能。せめてイスラム帽(?)で抵抗してます。

数か月に一度、二週間ほどお向かいのシャッターが閉まります。ヒロさんやないと、と言う贔屓のお客さんが、ニューヨークでヒロさんを待ち焦がれてはるそうです。
腕一本で自由に京都とニューヨークで仕事ができるのは、何とも軽やかで、京都に根を生やしている私には、羨ましい限りです。