カバン・袋物・帆布加工一式 一澤信三郎帆布

信三郎のええかげんな話

Date 2017.09.25

#72 使い込んだら

近頃は、安ければ安いほどええ、だめになったらまた新しいものに買い替えたらたらええんやという風潮です。
そんな中、「うちのもんは使い込むほど味が出てくるので、長く使い込んで自身の分身のようなかばんに仕立ててやってください」と言って買うていただくのは、風変わりな店やと思われるかもしれません。
うちのかばんは綿・麻の天然素材でできています。
ナイロンやプラスチックのような化学製品は丈夫で変色もしませんが、新品の時がベストの状態で、徐々に汚うなって、劣化してきます。
綿や麻も、もちろん最初はきれいですが、使い込むうちに柔らこうなって、体に馴染んできます。日に焼けて色は少しずつ薄くなり、生地も擦り切れてきます。それは、長年使い込んで、ええ風合いになって使いやすうなったということなんです。それでも、とことん傷んだら、持ち手を新しいものに取り換えたり擦り切れたところに布を当てて修繕します。一部分を補修するだけで、不死鳥のように甦るかばんもあります。
そやけど、生地全体が弱ると、修繕しても、丈夫になったところの隣が、また破れてきます。そうなると、「すんまへんなあ、限界ですわ。使い切って成仏させてやってください」と修理をお断りすることもあります。
最後には土に還るんで、綿や麻の帆布は地球にも優しい素材なんです。
長い年月、苦楽を共にして、ええ人生を歩んでええ顔になってはる人のように、使い込んで飽きのこない、ええ顔のかばんに育ててやってください。
わが風貌は、風雪に耐えてきてはいますが・・、未だお見せするには値せずです。