カバン・袋物・帆布加工一式 一澤信三郎帆布

信三郎のええかげんな話

Date 2017.07.24

#70 伏見人形

以前に、飛騨高山の街をぶらぶら歩いていた時のこと。
とある骨董屋さんのウインドウで、牛の土人形を見つけました。
私は丑年で、「丑年は家につくと言われて、家の仕事を受け継ぐんやで、その代わり、孤独に人生を終わることはないけどな」と言われたことがあって、その通り、家業を受け継ぐことになって、今に至っています。
その牛は、なかなか堂々とした作りで、不敵な面構え。もしかして伏見人形やないかと思い当たりました。
伏見人形は、安土桃山時代から、京都の伏見稲荷大社の門前で作られていて、全国の土人形の元祖やと言われています。幕末から明治にかけては、窯元が50軒余りもあったそうですが、今では、1軒のみになっているようです。
飛騨牛の焼肉屋さんのウインドウに飾られそうになっていたのを、そんなら生まれ故郷の京都に連れて帰ってあげようと、譲り受けました。
今作られている伏見人形と並べてみましたが、この昔の牛は、高村光太郎の詩をほうふつとさせる、さすがの貫禄です。

牛は後へはかえらない
足が地面へめりこんでもかえらない
そしてやっぱり牛はのろのろと歩く
牛は大地をふみしめて歩く

牛は自分の道を自分で行く

私自身は無為徒食に年を重ねているだけで、こんな貫禄になられへん。
今更ですが、つらいとこですなあ。