カバン・袋物・帆布加工一式 一澤信三郎帆布

信三郎のええかげんな話

Date 2017.06.05

#68 私も、たまには

私が常に肌身離さず使うてるのは、もちろんうちの帆布かばんで、S-02小、通称 “托鉢かばん” です。このかばんのサイズやと、中身はせいぜい手帳と携帯電話、名刺入れ、キーケース、ペン差し、ハンカチでほぼ一杯です。これ以上は放り込めず、肩も凝りません。
昼はもちろんのこと、たまには夜もこれをたすき掛けにして夜の托鉢に出かけます。喜捨してもらうんではなく、どちらかと言えばこちらが、紅灯のちまたに、僅かばかり布施をするんですが…。たすき掛けにしておけば、どこかで酔っぱろうて沈没しても、置き忘れることはありません。

うちには、専属のデザイナーはおりません。強いて言えば「こんなかばんはできへんか?」と要望を言ってくれはるお客さんがデザイナーでしょうか。
とは言うても、うちの職人も月に一度、自分自身が作りたいかばんを好き勝手に作ってもええと言う日があるんです。新作への思いが募った職人たちが集まります。自分で使いたいと思わんと、ほんまにええもんは出来まへん。
私は普段、空気のようなもんやけど、ここらで少しは存在感を示さんとあかんなあ・・・と、自分が使いたいかばんを考案してみました。
基本は、いつも使うてるS-02小のサイズです。うちでは昭和30~40年代に、登山隊や探検隊の野外用キャンプテントやリュックを手掛けていました。せっかくやから、当時テントを張るのに使うていたロープや、自在(今はこれをダッフルボタンと呼んでいるようです。うちでは通称 “おしゃぶり” でした)を使うてみました。
麻帆布に、綿ロープと木製の自在を組み合わせて、できたんが「IS-28」です。
お陰さんで、ぼちぼち人気です。
辛うじて、私にもまだ創作力残ってますやろうか。